プレゼントマリオ TAS 19:45.28

作ります宣言してから4ヶ月近く経ってしまいましたが、
プレゼントマリオのTASが無事に完成しました。
自分のもてる力を全て注いだつもりなので、楽しんでいただけると幸いです。
特に強制スクロールとか。
ハックの配布元や、主な情報は以下の通りです。

• ハック：スキルアップの人さんへのプレゼントマリオ
• スキルアップの人さんのプレイ動画：改造マリオ～ちょっと後輩になってくるわ
• Player: Mr.
• Play length: 19:45.28
• Frames: 71117
• Rerecord count: 71208
• Emulator used: Snes9X v1.43+ v16 (interim) / svn r61

動画は以下の媒体で公開しています。
ニコニコ用の動画は動作の快適さを考えて 30fps の中画質にしてあります。
60fps のものは mediafire にあるのでそちらを落としてご覧になってください。
SMV はどちらから落としても中身は同じものです。

• ニコニコ動画
• SMV: ZIP or microstorage
• MP4 (mediafire)

次の方々には、様々な形でお世話になりました。
この場を借りて感謝の意を述べたいと思います。

• hogehoge61さん - このハックのTASを作るきっかけを与えてくれました。正確には、彼が製作していたものを私が引き継いだ形になっています。彼が居なければこの TAS を作ることはなかったでしょう。
• #TASersの皆さん - 製作中の愚痴を聞いてくれたりと、TAS製作上の不安の一つである精神面でのサポートをしてくれました。今回 MP4 の導入に踏み切った際にも色々アドバイスをしていただきました。いつも愚痴ばっかりですいません。

解説も一応つけておきます。
が、例によってテクニック等の解説はしていません。
短縮案や、見慣れない現象などへの言及を主眼に置いています。

（追記＠2009/5/25 6:00）
追記回数の内訳をこっそり追加しました。
全追記回数のおよそ7割が強制スクロールに費やされています。

・・・・・

アホかーーΣ
（追記ここまで）

オープニングデモ

追記回数：600

このデモはメッセージダイアログを出すことで終了させることができますが、メッセージの表示フラグはカメラ位置に依存しています。よってマリオが落ちる前にメッセージを表示させるためには、（１）R ボタンのスクロールを用いてカメラ位置を前方に押し出すか、（２）甲羅やヨッシーを使ってマリオの高さを稼ぐことが必要です。ヨッシーを使う方法はとてつもなく遅くなるので問題外ですが、残りの二つに関してはいずれを用いてもロスを生じることはありません。動画では甲羅の遊びを入れるために甲羅を用いる方法にしました。

ステージ１　こてしらべ

追記回数：2100

「敵を8回連続で踏め」というステージ。これは正確には「敵を踏んで1UPせよ」ということなので、TASさんは最低4回で次のマップへ進むことが出来ます。一画面目と二画面目はまさにそのコンセプトで短縮を行っています。残りのマップでは8匹目をいかに早く踏めるかという点にが焦点となるので、短縮の余地はあまりありません。乱数調整に命をかけるならまた別の話ですが。

ステージ２　M.Aマリオはおっさんなのか？

追記回数：4500

まず1マップ目ですが、TASさん視点だと中間スタート地点もTASさん専用入り口に早変わりしてしまいます。せっかく用意されているので遠慮なく使わせていただきました。

2マップ目は強制スクロールなので特にやることはありません。手持ち無沙汰なので、足がつかないようにしたり、スコアを調整したりなどしてみました。ちなみに音楽が遅れているように聞こえますが、ラグが発生してるわけではありません。ジャンプ音などが鳴っているとBGMのみに遅れが出るようです。改造まわりのことにはあまり詳しくないのでさっぱりわかりません。

ステージ３　ありがたくないプレゼント

追記回数：7000

マント用ショートカットが用意されているので遠慮なく使わせていただきます。TASさんの場合はマントが無くても利用可能です。

そのあとのツルツル地面マップは敵が多いのでラグがとんでもないことになっています。ステージ２でスコア調整を行ったのには、ここでのラグを減らす意味があったというわけです。かなり頑張ったけど依然としてラグが残りまくってます。無念。

ボスマップは（大雑把に言うと）「スプライトの当たり判定を全て消滅させる」ことでクリアとみなされます。単純に考えると敵を全て倒せばいいことになりますが、ボム兵の爆発時の火花には当たり判定が残っているので、火花が消えるまで待たなくてはなりません。このあたりの調整を行うことでいくぶんの短縮を実現しています。

ラグについて：
ラグ（＝処理落ち）は、スコアの各桁の和に依存することが分かっています。この値が大きいほど処理も大きくなり、結果としてラグが発生しやすくなります。他にラグの要因となるものは、スプライト（マリオ、敵、アイテムなど）の他に、ゴール時の暗転などがあります。ただし、画面の全てが一様に暗くなる処理はラグを発生させる暗転に含まれません。

ステージ４　キリがないほど ミスティック

追記回数：3800

単純に6/5走法で駆け抜けるだけですが、残りタイム777の付近でダッシュ状態を維持するために角抜け並の調整が必要になるので、やや難しくなっています。土管に入った後は、TASさん専用の足場が用意されているので遠慮なく使わせていただきます。

当初は2つ前のステージに戻ってマントを取ってくる案もありましたが、戻ることによるロスが思ったよりも大きく、更には扉をくぐるとチビになったりストックがなくなったりしていたので、あっさりボツとなりました。残念。

ステージ５　ハウルのうごきまくるしろ

追記回数：8200

開始直後にショートカット用の扉があるので颯爽と飛び込みます。飛び込み方には、角抜けやLRスクロールによるめり込みなど、いくつかの案がありましたが、最も速かったのはスピン床抜けでした。スクロールを施しているのはマグナムキラーの出現を遅らせるためです。

その後は地獄のような強制スクロールが延々と続くわけですが、ここで言及しておかなければならないことが一つあります。残りタイム250付近でラグが1フレーム発生していました。これに気づいたのはステージ６の終盤に差し掛かっているときで、とてもここへ戻ってくる気力はありませんでした。本来なら除去出来たラグをみすみす残してしまったのはたいへん悔やまれます。もっと早く気づいていれば…。

敵の当たり判定について：多くの敵の当たり判定は、2フレームに一度しか現れません。たとえば残りタイム335付近で、ガリガリに当たっているように見えますが、当たり判定の現れるフレームのみしゃがむことで、ダメージを回避しているわけです。このテクニックは、下向きの土管から出ているパックンフラワーを避けるときなどにも使えます（参考：友人マリオ２「とかいのそら」）。

ステージ６　でっていうとともに

追記回数：21000

「このステージのすべてのものにはメタミドホスがこんにゅうしていますよ」というメッセージの通り、敵を倒したり、コインを取ったり、パワーアップアイテムを取ったりすると、問答無用で死に至らしめられる恐怖のステージです。しかし内部的には、（１）スコアの増加と、（２）コインの増加の二つしか監視していないらしく、敵を倒してもこの二つが起こらない限り死ぬことはありません。つまりでっていう大活躍というわけです。

でっていうの乗り降りと踏敵回数について：
マリオワールドでは、地面に足をつけることなく敵を踏んでいくことでスコアが上昇し、最終的には1UPに至ります。この「地面に足をつけず連続で敵を踏んだ回数」は 7E1697 というメモリアドレスに格納されています。この値を増やす行動には、（１）敵を踏む、（２）敵（甲羅やメットなど）を蹴る、の他に（３）でっていうに乗る、というのがあります。そのため、頭を天井につけた状態ででっていうに何度も乗り降りすることで、スコアを増やさずに踏敵回数を増やすことが出来ます。このステージでは、踏敵回数が監視されているわけではないので、この（３）の方法を用いてスコアを取得せずに1UPの状態に引き上げているわけです。

甲羅の2個持ちについて：
ヨッシーが敵を舌で捕らえたとき、ダメージを受けて口に含むのをキャンセル（以下食べキャン）すると、敵の挙動がおかしくなります。より正確に言うと、食べキャンした敵スプライトの ID よりも後ろの ID を持つ敵スプライトは、食べキャンした敵スプライトとの当たり判定を失います。（ちなみに、若い ID 番号を持つスプライトほど手前に表示されます。つまり、食べキャンした敵スプライト A を通過する敵スプライトは A よりも後ろに描画されます。）また、ブロックなどとの当たり判定も変わるようですが、こちらはよくわかっていません。床を抜けたりしているのは、この食べキャンに起因する現象です。

このステージには、2体の（羽つき）でっていうが配置されていて、1体はスタート直後、もう1体は中間スタート用のものです。普通にでっていうを連れていくと、2体目は表示されませんが、中間地点まで来た時に、1体目のでっていうが画面外に居るようにすると、2体目のでっていうが表示されます。このとき、更に1体目のでっていうが穴などに落ちていない状態（より詳しく言うと、でっていうのスプライトが生きている状態）にしておくと、2体目のでっていうには羽がつきません。この状態で1体目のでっていうが穴に落ちるなどしてスプライトとして認識されなくなると、2体目のでっていうに羽が生えます。残りタイム107の地点で突如羽が生えるのは、銀Ｐスイッチを押したことで、ブラックパックンがコインに変わり、1体目のでっていうが奈落の底へ落ちていったことに起因しています。

もう一つ羽つきでっていうに関して注意を書いておきます。1体目の羽でっていうが生きた状態で、2体目の羽でっていうを出現させると、2体目のでっていうは、口に何も含んで居ない状態でも、青甲羅を含んでいる状態と同じように空を飛ぶことができるようになります。また、青甲羅や無敵甲羅以外の甲羅（つまり緑、赤、黄）を口に含むと飛ぶことができなくなります。このバグに関しては、このTASを製作しているときに初めて出会ったので、詳しいことはよくわかっていません。こういった面白い現象を体験することが出来るのが、改造マリオの面白さの一つとも言えるかもしれませんね。どうやらこれは私の勘違いだったようです。2体目のでっていうは、初めから「でっていうの羽で行けるボーナスステージでの状態」として設定されているそうです。きちんと解析をせずに、誤った解説をしてしまってすみませんでした。

しかし結局は乗り捨てられる運命にあるのだった。

ステージ７　TASさんをめざせ！

追記回数：3400

どうも本物です。

TASさんは他人が敷いたレールの上を走るのがとても嫌いなので、大自然（亀と魚）の力を借りて独自のルートを切り開きます。さりげなくスコア調整をするのも忘れません。

ゴール時に左へスクロールしているのは、ゴール後のメッセージ表示を省略するためです。上でも書きましたが、メッセージの表示フラグはカメラ位置に依存しているため、このようなケースではスクロールによってメッセージを省くことが出来ます。

ステージ８　ハイパーきちくタイム

追記回数：10700

開始直後にTASさん専用入り口があるので遠慮なく使わせていただきました。一度ダッシュ状態にして上方へスクロールさせないと、この壁を越えることが出来ません。

強制スクロールは苦手です。せっかく甲羅があるので1UPなどしてみました。次マップでのラグも考慮してスコアもある程度調節しておきます。こんなことをしていると追記密度が跳ね上がって困ります。ひぃひぃ。

クリボン地帯のラグはどうしてもあれ以上取り除けませんでした。ラストステージに向けてスコア調整も行っておきます。

ステージ９　PANDEMONIUM

追記回数：10000

1マップ目と2マップ目は、コインを50枚取得することで次のマップに進むことが出来ます。ただし、マリオが特定の位置に至る前に50枚取得してしまうと、クリアフラグのないボーナスステージに飛ばされてしまい、脱出不可となってしまいます（タイムオーバーによる死亡で一応抜け出すことは出来ます）。なので、コインの枚数を上手く調整してやる必要があります。

一方で、このステージは非常にラグが発生しやすいため、ラグの調整もたいへん重要です。スコアの調整はもちろんですが、ドッスンを動かすタイミングを調整したり、敵をあえて殺さずに残すことでラグを発生させやすい敵を出現させないようにしたりと、試行錯誤しています。また、コイン取得後のグラフィックも負荷を高めるらしく、どのコインをどのタイミングで取得していくかというのも問題となってきます。

さて、50枚目のコインをどのように取得するかですが、まず1マップ目については最後に配置されているコインを取る方法と、甲羅をコインに変える方法の2通りが考えられます。しかし最後に配置されているコインは、次のマップへの移動可能エリアの最奥に配置されているため、後者の方法を採った方が、ファイアの取得によるロスを差し引いても1秒ほどの短縮となります。2マップ目へ進むと、またチビに戻されているため、最後から3番目に配置されているコインを取得するのが最速パターンとなります。

ゴール手前のルイージに構っているとメッセージが表示される分遅くなってしまうので、当然のようにスルーします。所詮ルイージはルイージということです。

あとがき

この改造マリオにはエンディングが用意されていないので、どこでムービーを終了させるかで悩みました。ただ、明確な基準を設けたほうがいいと思ったので、「作者メッセージを最後まで表示させる」ことを目標とし、この目標を達成できる入力を以って動画の終了としました。これは私が勝手に決めた基準ですので、あまりお気になさらずに。